ライフサイクル·アセスメント（2）

摘要

前回から、製品のライフサイクル全体での環境負荷を評価する「ライフサイクル·アセスメント」を紹介している。前回紹介し忘れたのだが、産業技術総合研究所安全科学研究部門（日本のLCA研究のメッカの一つ）のニューズレター8月号（No.20）が「持続可能性とLCA」という特集をやっていて、LCAの最近の内外の動向がさらっとわかる。執筆者もLCAのエース級の研究者ばかりなのでお薦めです。ここに書かれていて思い出したのだが、EUでは、「環境フットプリント」のパイロット事業というものが実施されている。前回触れた「カーボンフットプリント」がCO_2に換算した温暖化ガスの排出量という単一指標なので計算の仕方も結果も明解なのだが、当たり前の話であるが「温暖化問題」だけを扱っている。これは逆に言えば、温暖化以外の問題は気にしなくてよいという間違ったメッセージにもなりかねないという短所がある。「環境フットプリント」は、ニューズレターによれば、14の環境問題の指標を扱って、それを単一の指標に統合化して表示しようとしている（これは、後述する図1の影響評価の結果に相当する）。表示するということは、様々な製品を比較できてしまうということである。従来から、複数の異なる指標値を一つの数字に統合化する方法は様々な流派があって、科学的な方法論はないので、統合化した単一指標で複数の製品を比較してはいけないといわれていたので、この環境フットプリントは「お手並み拝見」という感じで、今後も注目である。