国連TDG/GHSの活動について

摘要

火薬類が国際間で取引され、製造国以外の国で狞蔵や消費がなされる場合、製造国と消費国で危険性分類の基準や輸送規則が異なると、国境での輸送の停滞や取り扱い時の危険性増加などの問題が生じる。この懸念は火薬類以外の危険物にも当てはまる。そのため、多国間輸送の安全化と円滑化の観点から、危険物の輸送規則や分類について、国際間で共通の基準を設ける必要性が生じている。しかし、各国が定めている危険物の取締法令は、国土の広さや国益に対する国家ポリシーなど、各国特有の事情が反映されているため、たとえ一部といえども規制の内容を他国と共通化することは容易ではない。そのため関係する国家や国際機関の間で利害調整を行う仕組みが必要となる。本稿で紹介するTDGとGHSは、上記の問題に対処するため国際連合に設置された委員会の略称である。筆者は2009年から11年間、全国火薬類保安協会の依頼を受け上記の委員会に参加してきた。ここではまずTDGとGHSの概要について述ベ、筆者が直接関与した事例を含め、火薬類関連のいくつかの活動内容を紹介する。