グリーンインフラでつくる雨水循環型未来都市

摘要

大雨に見まわれるたびに、たちまち道路、建築屋上や外構部に水がたまり、そして流れ始める。日常的な風景ではあるが、その大半が集水枡に流れ込んでいる。その先の下水管や河川への流れを想像すると、感覚的にもぞっとすることがたびたびある。歴史的にも公衆衛生に大きな役割を果たしてきた下水道は、いつの頃からか雨水から汚水まで大量の排水を担っている重要な土木インフラだ。しかし、人工構造物には寿命があり、改修更新が必要となる。5年、10年に一度とされてきた集中豪雨も、異常気象やヒートアイランド現象も影響して年に一度、二度と頻発化し、5年に一度程度の豪雨に対応するとしてきた下水道にも限界がきている。改修する際には排水能力のより向上を模索しつつも、その規模の設定と事業費の調整は難しい。改めて地域の土地利用の観点から雨水循環について向き合う時がきている。