活性炭注入および凝集沈殿による有機物除去とトリハロメタン制御

摘要

多くの浄水場で，夏期のトリハロメタン対策として粉末活性炭の注入を行なっているが，経済的な理由から過不足ない注入量の決定が求められている。 そこで，活性炭注入および凝集沈殿処理によってE_(260)が，どの程度除去されるか調査した。さらに，実際の浄水プラントへの応用についても検討したので報告する。ジャーテストを用いて原水中の有機物除去について検討した結果，活性炭注入率と原水E_(260)除去率との間に高い相関がみられたが，その係数は測定日によりばらついた。 つまた，PAC注入率の増加によってE_(260)除去率は増加し，最適なPAC注入率ではおよそ40～50％のE_(260)を除去できることがわかった。 このことから，トリハロメタンの抑制に凝集沈殿が大きな寄与を果たしていることがわかった。 活性炭注入と凝集沈殿を組み合わせた浄水処理方法では，活性炭注入率を増加させると活性炭による除去率は増加し，凝集沈殿による除去率は減少することがわかった。 さらに，活性炭注入率を大きくすればプロセス全体での除去率は，ほぼ直線的に大きくなることがわかった。 また，新たに水質パラメーターと供給末端地点でのトリハロメタン濃度の関係式を導き出した。これにより，最適な活性炭注入率を計算から求められることが示唆された。