つながるか，核燃料サイクルの環: 東通原子力発電所の必要性について

摘要

東京電力が青森県東通村に建設を計画している原子力発電所の「東京電力株式会社東通原子力発電所1号機及び2号機の設置に係る公開ヒアリング」（経済産業省資源エネルギー庁主催）が2003年11月19日，東通村体育館で開かれた。 東通原子力発電所は1965（昭和40）年，東通村が誘致を表明して以来約40年近く着工されずにきたが，東京電力は「今後も高度情報化などによる電力需要は伸びが見込まれる」として建設の予定でいる。 東通村では，東北電力がすでに2005年7月の運転開始を目指し，1号機（110万kW，沸騰水型軽水炉）を建設中。 東京電力が予定通り着工すれば，2基の原子力発電所が新たに運転されるが，公開ヒアリング直後に関西電力，中部電力，北陸電力が共同で計画していた珠洲原子力発電所建設を凍結する経営判断が下された。地域での電力需要の伸び悩みと電力自由化でコスト削減を迫られ，膨大な初期投資資金や長期にわたる管理の負担増が理由。 プルサーマル導入や放射性廃棄物の最終処分費用などの増大で，核燃料サイクルの行方が不透明な中，公開ヒアリングを通じ新規原発の必要性を考えた。