埋立前処理としての灰の洗浄操作が浸出水の水質に及ぼす効果

摘要

廃棄物最終処分場が抱える大きな問題のひとつに，埋立物の安定化とそれに付随する最終処分場の廃止の問題がある。 埋立物の安定化に関してはさまざまな提案がなされているが，筆者の所属する研究グループは，埋立処分の前処理として洗浄を行なうことを提唱し，実証実験を行なってきた。 対象廃棄物として，ストーカ式焼却炉灰と流動床式焼却炉灰を用い，埋立前処理として洗浄を行なった場合と洗浄せずにそのまま埋め立てた場合を想定し，自然降雨によって発生する浸出水を分析し評価を行なった。その結果，いずれの場合も時間の経過とともに浸出水中の各成分は低下するが，前処理として洗浄を行なった場合のほうが，浸出水中の各成分はより低位で推移し，埋立物は早期に安定化することが示唆された。このことから，埋立処分の前処理として洗浄操作を行なうことが，最終処分場の早期廃止に有効であることがわかった。