BSEを契機に明らかになった 食品安全と課題

摘要

牛海綿状脳症（BSE)は、伝染性の致死的 な牛の神経変性疾患である。1986年に発見さ れたこの病気は、感染した牛の脳と脊髄の神 経ネットワークが海綿状（スボンジ状）に変 性し、協調性の欠如や運動失調を引き起こし、 最終的には感染した動物を死に至らしめる。 牛のBSEの原因物質は、構造的に変化したプ リオンタンパク質である。英国で発生したBSEの流行では、英国だけで330万頭以上の 牛が殺処分された。変異型ク口イツフェルト-ヤコブ病（VCJD)は、1996年に初めて記載 された致死性のヒトの神経変性疾患で、BSE の原因となるBSE病原体に感染した牛の死骸 から採取した特定の組織を摂取したこととの 関連が推定されている。2014年6月までに 184名がvCJD感染により死亡しており、その ほとんどが英国内に住んでいた（表1)"。