外転神経麻痺と中枢性顔面神経麻痺を呈した延髄外側梗塞の1例

摘要

夕転神経核と顔面神経核は橋下部背部に局在し，同部位は前下小脳動脈(anterior inferior cerebellar artery ： AICA)によって灌流されている. 外転神経は眼球の外眼筋の一つである外直筋を 支配し，顔面神経は主に表情運動筋を支配して いる.顔面神経における皮質橋路（cor ticobulbar tract ： CBT)線維の局在は不明なことが多い.顔 面麻瘅に関して，橋上中部より吻側の病変では 反対側の中枢顔面神経麻痺（central facial nerve palsy ： CFP)が生じ，顔面神経核が存在する橋 下部背外側病変では同側の末梢顔面神経麻痺 (peripheral facial nerve palsy ： PFP)が生じるとされてきた.