Case study鑑別診断徹底トレ一ニング!

摘要

細胞診でメラノーマと診断する際には,細胞質の微細な黒緑色顆粒が指標となる。形態に関しては,本症例では紡錘形を 呈していたが,本来は上皮~間葉~独立円形細胞様と,どの形態も呈するため,細胞形態からメラノ一マと診断することは 困難である。メラノ一マの悪性度の評価に関しては,細胞の異型性所見に加えて,細胞分裂像の数,さらに腫瘍の浸潤度の評価が重要であり,細胞診単独で判断することはできない。しか し,病理組織標本上で細胞分裂像を評価する際には,2.37 mm 内の細胞分裂像の数が,口腔では4個以上でメラノーマの挙動 は悪く,生存率が低くなることが報告されている。このこと力 ら,病理組織標本よりもかなり狭い範囲の細胞集団を評価す る細胞診塗抹標本上に細胞分裂像が見られた場合は,少数で あっても挙動の悪い悪性黒色腫であることを予測して病理組織学的検査を迅速に行い,より詳細で確定的な診断を行うこ とが推奨される。