口腔内扁平上皮癌

摘要

猫の口腔内扁平上皮癌は局所浸潤性が高く，外科療法,化学療法，および放射線療法などを組み合わせた治 療を行っても1年生存率が10%以下，生存期間中央値が3力月以内と予後不良の悪性腫瘍である下顎吻側 に発生した腫瘍の場合,完全切除による予後は良好(生存期間：911日）であるが,上顎や下顎尾側に発生した腫 瘍の場合,外科摘出後の再発率が非常に高い猫の口腔内扁平上皮癌の杭がん薬への感受性は低く，外科療法 や放射線療法の補助療法として使用した場合でも顕著な無増悪期間および生存期間の延長は認められていな い一方で，トセラニプリン酸塩（以下：トセラニブ)，およびNSAIDsの有効性を示す回顧的研究が数本報 告され,前向き研究と外科療法，および放射線療法の補助療法としての検討が行われている。本稿では，猫のロ 腔扁平上皮癌に対するトセラニブのプロトコルについて，用量，有害事象,注意点を中心に解説する。