鼻鏡,耳介の扁平上皮癌

摘要

扁平上皮癌(Squamous cell carcinoma : SCC)は肥満細胞腫に次いで発生の多い猫の皮膚悪性腫瘍である、 猫の扁平上皮癌は，その発生機序から紫外線に曝露されやすい部位に発生するものと，それ以外のものに大別 される2、紫外線の照射量が多い部位としては色素が薄く，毛並みが薄い鼻鏡部や眼瞼などが挙げられる。とくに 白い被毛をもつ猫ではその他の被毛の猫と比較し，皮膚SCCの発生リスクが13.4倍だったと報告されている— 方,被毛が多い部分で発生するSCCではパピローマウイルスの問連が示唆されている。鼻鏡や耳介に発生する SCCは，初診時において多発している症例は比較的認められる一方で遠隔転移率は低い2、鼻鏡や耳介に発生す るSCCに対する内科治療による治療報告は非常に限定的であるが,近年，鼻鏡や耳介SCCに対し，電気パルスと 化学療法薬を併用することで抗腫瘍効果を高めた電気化学療法(Electrochemotherapy : ECT)の有効性が報 告されており，本稿ではとくにECTについて紹介する。