腹膜透析の現況と展望

摘要

持続的携行式腹膜透析(CAPD)は1976年に Popovichらにより開発された新しい在宅医療 の透析治療として臨床の場で使用されるように なった.本邦においては1980年より導入され, 1983年には保険収載され40年が経過した.日本透析医学会の統計調査によれば,わが国 の透析患者数は年々増加し，2020年末の施設調 査結果による透析患者数は347,671 人に達し,人口百万人あたりの患者数は2,754人であった.ま た,2020年の透析治療方法の全体に占める各透 析治療形態の割合は,血液透析(hemodialysis ； HD)は 49.3%,血液透析濾過(hemodiafiltration ； HDF)は 47.1%,血液濾過(hemofiltration ； HF) は0.004%,血液吸着透析は0.4%,在宅血液透 析(home hemodialysis ； HHD)は 0.2%,腹膜透 析(peritoneal dialysis ； PD)は HD 併用を含めて 3.0%であった. PD患者数は1990年代から, 9,000人台が続いていたが，2018年4月に新設さ れた診療報酬項目導入加算の効果もあり,2020 年度には10,338人と前年の9,920人から増加し はじめて10,000 人を突破した.しかしながら，諸 外国と比較しHD患者数の多さに比べ,PDを受ける患者数が極端に少ないというアンバランスな 状況は変わっていないのが現実である.