進行腎細胞がんに対する1st/2nd line治療の選択：best combination/sequence

摘要

腎がんは元来，抗がん薬や放射線に対する感受 性が低く，他のがん腫とは治療を異にしてきた.腎細胞がんの1st line治療は，2022年8月現在， 免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor ； ICI)をベースとした5つの複合免 疫療法レジメンの並列となっているが，1990年代 から標準治療であつたinterferonやinterleukin-2 といったサイト力イン療法を経て，2000年代にチ nシンキナーゼ阻害薬(tyrosine kinase inhibitor ； TKI)やmTOR (mechanistic/mammalian target of rapamycin)阻害薬といった分子標的薬が1st line 治療薬として台頭してきた.ところが，ここ数年 で様相は一変し，現在は，ICI+ICIあるいはICI +TKIといった複合免疫療法が主流となり，TKI 単独療法は1st lineとしてはICIを使用しづらい症 例で考慮されるという位置づけになっている.と はいえ，ICIベースの複合免疫療法はいずれも1st lineでしか使用できないレジメンであり，2nd line 以降では，TKIを中心に治療を進めてゆく必要が ある.さらに，これらに関しては，head-to-headの試験を行って直接比較しているわけではないた め，どのような患者にどのレジメンを使用し，ま た，どのような順番で治療を進めてゆくかという 点に関して，明確な解答はない.データの解釈 には注意が必要であるが，本稿では，現時点で入手可能なデータをもとに，最近のnetwork metaanalysis (NMA) の論文の比較結果等を参考にし て，この点について検言すしたい.