胃生検での炎症とMALTリンパ腫 Answer 2

摘要

あたかも「炎症と胃MALTリンパ腫gastric MALT lymphoma(GML)は鑑別できて当然」のような成書 の記載を目にすると,自身の実力不足を棚に上げ， 「本当に鑑別できるのか」と斜に構えていました.ご 質問と同様に悩んでいる私が考える,炎症とGMLを 鑑別する意義についてもお話ししたいです.鑑別の必 殺技を期待された専攻医の方には申し訳ありません.GML といえばlymphoepithelial lesion (LEL)で， 医学生はそう覚えるし国試にも出ます.実際，GML の診断にとても有用です.一方でその診断的価値は强 調され過ぎているようにも思えます.これは1984～1987年にIsaacsonらがMALTリンパ腫を提唱した 当初,LELの診断的価値が強調されていたこと，1993 年に発表されたHistological scoring for diagnosis of MALT lymphoma,通称 Wotherspoon grade (W grade)ではLELが診断の必須条件であるかのように “誤解”されかねない記載がみられたのが原因かもし れません.