店舗のファサードを飾る木製の「切抜き金文字」 看板の存在状況と耐久性

摘要

店舗や会社の名称を掲不する看板は，その存在 を知らしめることが主な目的であり，主に屋外で 使用されることから，金属，プラスチック，木材 等，ある程度の耐久性がある材料が選ばれている。 看板については，その歴史,様式効果 等，様々な観点から多くの報告があるが，木製の 文字看板の一つである「切抜き金文字」看板に関 する報告は極めて少ない。ここで言う「切抜き金 文字」については定まった用語は☆く，「金箱浮 出文字」「切抜き金文字」,「浮出金字」,「金 文字」,「金看板」等と言われている。本報 告では，店舗のファサードを飾っている文字の形 態に最も近いイメージである「切抜き金文字」を 用語として使うこととした。「切抜き金文字」の 製作方法の概略を図1に示す。一方，1600年代に 現れたと推察されている「額形の屋根看板に金文 字を配した看板」については，後述のように「一枚板に文字を彫って金箔を押した木彫看板」の一 形態であったと考えられるので,ここで対象と する「切抜き金文字」看板とは区別し',調査の対 象とはしなかった。