尿路感染症に対する抗菌薬適正使用

摘要

「抗菌薬適正使用」という言葉が使用されて, かなりの時間が経過した.「抗菌薬適正使用」と いう言葉を本稿では使用するが,実際には抗菌薬 のみではなく抗真菌薬,抗ウィルス薬,抗原虫薬 などすべての微生物に対する「抗微生物薬適正使 用」と記載すべきである.厚生労働省における抗 微生物薬適正使用手引きでは,「抗微生物薬適正 使用」とは文字どおり抗微生物薬を適正に使用 するための取組（介入）にかかわる全般的な概念 であると記されている.以下,尿路感染症の原 因微生物のほとんどが細菌であることより,「抗 菌薬適正使用」として記す.抗菌薬適正使用は, 主に抗菌薬の使用の適応を判断し,治療選択, 使用量,使用期間などを明確に評価して,抗菌薬 が投与される患者のアウトカムを改善し,有害事 象を最小限にすることを目的としている.現在, 「抗菌薬適正使用」は耐性菌を減らし,抗菌薬の 使用量を減らすことが主の目的のように語られる ことが多い.