新ガイドラインに基づいた間質性膀胱炎の臨床

摘要

2019年4月に間質性膀胱炎診療ガイドライン が12年ぶりに改訂された.新ガイドラインにお ける最も重要な変更点は,外来で治療抵抗性の 膀胱に関連する慢性の骨盤部の疼痛,圧迫感, 不快感を訴える患者に対しては積極的に膀胱鏡 検査を施行すること,その肉眼的所見でハンナ病 変を認めた場合はハンナ型間質性膀胱炎,ハンナ 病変を認めなかった場合は膀胱痛症候群と診断 すること,そして,今後はハンナ型間質性膀胱炎 と膀胱痛症候群に分けた治療戦略を立てる必要 性が示されたことである.その結果として，ガイ ドラインのタイトルが「間質性膀胱炎診療ガイド ライン」から「間質性膀胱炎?膀胱痛症候群診療 ガイドライン」に変更された.本稿では，これま での各国における診療ガイドラインの変遷,本邦 における新ガイドラインに基づいた診断と治療戦 略，そして，新ガイドラインの発刊以降に保険収 載されたジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide ；DMSO)膀胱内注入療法とハンナ型間質性膀 胱炎手術を加味した新たな診療アルゴリズムにつ いて概説したい.