腎機能障害に対する保護

摘要

泌尿器科領域における腎機能障害は,主に腎 後性疾患に対する治療で改善が見込まれる.し かし,近年の日本人の慢性腎臓病(chronic kidney disease ； CKD)患者数は約1,330万人と推 計され,成人約8人に1人はCKDである。こと からもわかるように,腎後性に腎性の要素が併存 している可能性は容易に考えられる.2020年透 析患者の原疾患で最も多いのは糖尿病性腎症で 39.5%,次いで慢性糸球体腎炎の25.3%,腎硬化 症の12.1%であり2),糖尿病や高血圧症などの生 活習慣病が大きな要因を占めている.このよう な原疾患に対しては，これまで腎機能を改善させ る根本的な治療法はなかったが,近年，腎機能を 保持しうる薬剤の登場により，その治療法が様変 わりしてきている.