共鳴トンネルダイオードテラへルツ発振器とその無線通信応用

摘要

現在，第5世代移動体通信システム（5G）が商用化され，徐々にではあるがサービスエリアが拡大してきている。これと並行して，既に次世代の移動体通信システム（Beyond 5G/6G）に関する研究開発，周波数割当や具体的なユースケースの議論などが進んできており，既に様々な企業や機関よりホワイトペーパーが2020年頃から盛んに提示されている。これらBeyond 5G/6Gにおいては，将来的なデータトラフィックの増大に備え，非常に大容量かつ低遅延な通信システムの実現が将来像に盛り込まれており，そこでは，テラへルツ（THz）の広带域性を利用することが言及されている。既に450GHzまでの周波数利用について世界無線通信会議（WRC）で議論されている。THz通信の最大のメリットはやはり带域の広さである。大気の減衰を考虑しても，ミリ波では確保が困難な数十GHzの帯域が容易に確保でき，それを使って大容量かつ低遅延の通信が実現できる。現状ではまだ300 GHz程度の周波数帯に焦点が当たっている状況ではあるが，次々世代まで先を考えると高周波化のトレンドは続くと考えられる。およそ1THz程度までは大気減衰の少ない窓領域がいくつもあり，これら周波数帯の開発が強く望まれる。