「エネルギーと地政学」

摘要

ロシアのウクライナ侵攻に揺さぶられ，改めてエネルギーの安全保障は地政学に直結していることを思い知らされている。 その昔，私が資源エネルギー庁で課長補佐をしていた90年代初頭，庁内では「今や，石油は国際 政治から切り離され，普通の市場商品になりつつある。『需給と価格はマーケットで決まる』とい う我々の目指していた姿に近づいてきた」という議論があった。しかし今になってみると，相変わ らず石油や天然ガスの需給を決するのは，地政学的な要因が大きい。