ミネラルコルチコイド受容体阻害薬 (MRA)をどう使う?

摘要

MRAは心不全治療の主要4薬剤の一つである. MRはアルドステロン以外のリガンドやリガンド非依存性にも活性化されうる. MRは高食塩環境下において,様々な病的作用を引き起こす. 様々な器質的心疾患の終末病態である心不全においては,交感神経系やレニン一アンジオテンシン一アルドステロン系 (renin-angiotensin-aldosterone system ; RAAS)と,両者に拮抗的に作用するナトリウ厶利尿ペプチド系を含め,種々の神経体液性因子が賦活化されており,これらの因子が複雑に相互 作用し,病態が形成され進展していく(図1).それに対し,ここ数年, 複数の新規心不全治療薬が臨 床の現場に導入され,心不全に対する薬物療法は劇 的な変化を遂げ,新たな治療戦略概念,層別化が提 唱されているり.具体的には,心不全の治療を考え る際には,アンジオテンシンII, ノルアドレナリン, アルドステロン,ネプリライシン,SGLT (sodium glucose cotransporter)の計 5 つの pathway の持続的かつ過剰な活性化を,4つの阻害薬,つまりアンジオテンシン受容体/ネプリライシン阻害薬(angiotensin receptor neprilysin inhibitor; ARNI)と p 遮断薬,SGLT 2阻害薬,そしてミネラルコルチコ イド受容体阻害薬(mineralocorticoid receptor antagonist; MRA) により抑制することが推奨されている.この4つの薬剤は, "fantastic four"とも呼ばれており,それぞれが複数の大規模臨床試験においてエビデンスを確立している.