急性心不全へどう静注薬を使いこなすか

摘要

【静注血管拡張薬】血圧高値の心原性肺水腫症例に対しては,降圧作用の強いニトログリセリンを用いる. ニコランジルは降圧作用がマイルド. 薬剤耐性は示さない. カルペリチドは血管拡張作用に加え,利尿作用,RAA系抑制および交感神経 系抑制作用を併せもつ. 【静注強心薬】低心拍出,低灌流症例に対する第1選択薬としてドブタミンを選択する. 低血圧を合併する際は,カテコラミン製剤にノルアドレナリンを併用する. 高度低心拍出症例でドブタミン抵抗性の場合にPDE III 阻害薬を併用する. 急性心不全を生じる原因疾患は様々であるが,病態は急性心原性肺水腫,全身的な体液貯留,低心拍出による低灌流の3つの病態に集約できる. 静注血管拡張薬は急性心原性肺水腫,すなわち血圧が保 たれておりNohria-Stevenson分類でいうwet & warmの病態に有効である.また,静注強心薬は低心拍出による低灌流症例,すなわちNohria-Stevenson 分類でいうwet & coldの病態に有効である.静注血管拡張薬および強心薬について, 各薬剤の特徴,使い方を述べる.