腹腔鏡下手術で治療しえた3か所の 稀少部位に発生した子宮内膜症の1例

摘要

患者は43歳，女性.月経時に臍部からの出血を認め，当院産婦人科を受診した.腹部CT で臍部と虫垂に腫瘤影を認め，稀少部位子宮内膜症の疑いで手術を施行した.小切開下に臍腫瘤を摘 出し，同部位よりportを挿入して気腹を行った.腹腔内を観察したところ，虫垂以外に回盲部より 15cm 口側の回腸にも白色調の腫瘤を認めたため，虫垂切除と回腸部分切除術を併施した.病理診断 ではいずれも子宮内膜症と診断された.今冋の回腸病変は腸閉塞や強い月経困難症につながった可能 性があるが，術前検査では指摘できなかつた.また，3か所の稀少部位に同時発生するものは,常に 稀である.子宮内膜症は術前診断が困難な場合が多く ，本症例では腹腔鏡下の腹腔内観察が確定診 断，治療に冇用であった.