慢性特発性大腸偽性腸閉塞に対して腹腔鏡下大腸亜全摘術を施行した1例

摘要

慢性特発性大腸偽性腸閉塞症に対して，前処置の工夫で腹腔鏡下大腸亜全摘術を安全に施行しえた1例を経験した．症例は68歳，女性．S状結腸軸捻転で腹腔鏡下S状結腸切除術を施行された．3年後に腹部膨満と食欲低下で再診し，画像検査で結腸全体の著明な拡張を認め，慢性特発性偽性腸閉塞と診断した．外科的手術の方針で，術前日に経肛門的イレウス管を留置した．減圧は良好であり，腹腔鏡下に大腸亜全摘を施行した．術後腸閉塞を認めたが，術後16日目に軽快退院した．術前の経肛門的イレウス管による減圧は，慢性特発性大腸偽性腸閉塞症に対して腹腔鏡下大腸亜全摘術を安全に施行しうるために有用であった．