腹腔鏡下手術が有用であつた傍裂孔へル を合併した食道裂孔ヘルニアの1例

摘要

患者は79歲，女性.食道裂孔ヘルニアと診断され近医で内服治療されたが，体重減少も認 め治療目的に紹介となった.upside down stomach合併の食道裂孔ヘルニアと診断し腹腔鏡下手術を 開始した.術中，左右横隔膜脚の開大とともに右横隔膜脚内にヘルニア門を認め，傍裂孔ヘルニアを 合併した食道裂孔ヘルニアと診断した.ヘルニア門を鏠合閉鎖し，噴門形成術を追加した.経過良好 で，術後半年現在，症状は特になく体重は増加し，再発も認めていない.非常に稀である傍裂孔ヘル ニァを合併した食道裂孔ヘルニアに対し，腹腔鏡下手術は陽圧下での食道裂孔部の詳細な観察と根治 術が可能であり，有用な術式の1つであると考えられた.