単孔式TEPの経驗-腹腔内観察併用も含めて-

摘要

単孔式腹膜前腔鏡下鼠径ヘルニア修復術（以下，STEP)を15例に行い，再発例，両側例， 初発例の9例に腹腔内観察を併用し有用であつたので報告する.臍に2cmの縦切開を加えて腹膜を 切開し，腹腔内に到達後に腹腔内を観察した.腹膜を仮閉鎖した後，腹直筋前鞘を切開し腹直筋を外 側に圧排した.腹直筋後鞘の層に至り，腹膜前腔剥離バルーンを用いて腹膜前腔を剝離した.ヘル二 ァ囊を処理した後に人工パッチを固定した.必要に応じて再度腹腔内観察を行つた.手術時間は中央 値113分，出血量の中央値9 gで，術後合併症，再発は認めなかった.STEPを安全かつ確実に行う ことができた.腹腔内観察の併用はSTEPでも容易であり,特に再発例で有用であつた.