汎用的な細胞内温度測定をめざしたレシオ型蛍光プローブの開発

摘要

「温度」は、細胞の生理状態と深く関係する非常に重要なパラメータである。近年の研究から、細胞内における温度分布に偏りが生じており、例えば、細胞核の温度が細胞周期に依存して高くなるといったような、細胞の生理状態と細胞内温度との関連性が明らかとなってきた。様々な特徴を持つ細胞内温度測定用の蛍光プローブが開発される中、筆者らが開発している高分子蛍光温度プローブは、0.2℃程度の温度差を検出できる高い感度を持ち、初めて生細胞内の温度分布イメージングに成功した。混ぜるだけで細胞内へ導入できるカチオン型温度プローブの開発にも成功し、本誌2014年72卷で紹介した。これらのプローブはフナコシ㈱より市販され、多くの研究者が利用できる状態である。