iPS細胞由来杭がんCD8T細胞による再生免疫療法

摘要

CAR (Chimeric Antigen Receptor)導入T細胞によるがん治療が本邦でも承認され、がんに対するT細胞免疫療法が注目を集めている。T細胞免疫療法では、がん細胞を認識するCD8T細胞またはCARやがん抗原特異的T細胞受容体（TCR : T Cell Receptor)を遺伝子導入したT細胞を体外で増殖後に使用する。しかし過度に増殖させたT細胞は疲弊し、抗腫瘍効果が低下することも知られている。そこで筆者らは、がん抗原特異的CD8T細胞をリブログラミングして作製したT細胞由来iPS細胞（T-iPSC)を利用し、再生免疫療法という新しい概念を提唱した。T-iPSCはがん抗原特異的TCR遺伝子を内在しており、適切な分化誘導条件下で培養することで、疲弊の少ないがん抗原特異的CD8T細胞を多量に産生することができる。その後の研究から、T-iPSC由来のCD8T細胞の特徴、有用性が報告されてきたが、臨床的に治療効果を示すにはより細胞機能を増強する必要があることが示唆されていた。