生体試料を使った糖鎖プロファイリング技術の開発とその標的探索への貢献

摘要

レクチンは、糖鎖を認識し結合するタンパク質の総称である。バクテリアから哺乳動物、植物に至るまで生物界に広く存在し、生命現象の一端を担っていることが知られている。人類による後付けの説明となるが、その性質は糖鎖への結合特異性でグループ分けできる。糖鎖が生体内で、機能するにはその相手となるレクチンがいるからだと太くくりで考えたとしたならば、複雑な糖鎖を見分けるだけのたくさんの種類のレクチンが存在しているということは容易に想像がつく。加えて、原料として安価な食用植物に由来するものだけでもかなりの糖鎖を見分けるだけの種類が入手できる。この様な背景があってのことだと思うが、筆者が研究者を志した大学院生であったはるかに前からレクチンは糖鎖構造を調べる道具として使われてきている。