免疫チェックポイント阻害薬を用いた非小細胞肺がんの治療

摘要

免疫チェックポイント機構はがん細胞が抗 腫瘍免疫から逃避するために利用されてお り,さまざまな因子が関与している。CTLA-4 (cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4)はT細胞上に発現し,T細胞上のCD28と 競合する形で樹状細胞などの抗原提示細胞上 のCD80/CD86と結合しT細胞を抑制する。 PD-L1 (programmed death-ligand 1) はリ ン パ球系細胞以外にも血管内皮や上皮細胞に発現 するが腫瘍細胞にも発現し，細胞傷害性T細 胞表面の PD-1 (programmed death-1)に結 合することでT細胞の活動が抑制される。免 疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor ： ICI)はこれら抗腫瘍免疫にお ける負の調節因子である免疫チェックポイント 分子を標的とした抗体薬であり，免疫機構から 逃れた腫瘍細胞を免疫に再認識させ抗腫瘍効果 を得る(図1).