ヒト多能性幹細胞から肝星細胞を生成することで，in vitroでの肝線維化のモデリングが可能となる

摘要

わが国では，肝硬変の約7割，肝細胞癌の約8割がB型もしくはC型肝炎ウイルスによる慢性肝炎を背景とする。近年の目覚ましい抗ウイルス療法の進歩により，ウイルス性肝炎は制御可能なレベルに到達しつつあることから，ウイルス排除後の肝発癌をいかに抑制するかに注目が集まっている。特に，肝線維化は肝発癌の高リスク要因となることが知られており，肝線維化を標的とする肝硬変治療薬の開発が求められている。肝線維合成(fibrogenesis)は，主として活性化肝星細胞においてtransforming growth factor β（TGF β)経路の活性化によるコラーゲンをはじめとする細胞外マトリックスの産生?蓄積の宂進により生じることから，肝線維化の治療には，活性化肝星細胞の機能制御が重要となる。