抗Helicobacter pylori作用に優れた乳酸菌の開発

摘要

1982年にWarrenとMarshallによつてHelicobacter pylori（ピロリ菌）が胃粘膜組織から分離・培養されて以来、本菌が様々な胃・十二指腸疾患に関与していることが明らかになってきた。 我が国のピロリ菌感染率は約50％と高く、感染者は膨大な数に上るため、これらすべてを対象に除菌療法を行うことは事実上不可能である。 また、抗生物質による除菌療法には、副作用や耐性菌の出現といった問題を伴うため、安全で手軽なピロリ菌対処法が望まれている。 本稿では、新しいピロリ菌対処法として、抗ピロリ菌作用に優れた乳酸菌Lactobacillus gasseri OLL2716（LG 21）の開発を行い、本菌株の有効性をヒト投与試験によつて確認した研究の概要について紹介する。