OECD国際未来プログラム：責任あるバイオサイエンスの舵取りを目指して―研究および研究材料の不正使用の防止

摘要

イタリアのFrascatiにおいて本年9月17日～19日、OECDの標記会議が開催された。 この会議の主眼は、バイオセキュリテイーがバイオテロ等へ不正使用される可能性に対しいかに対処すればよいか、を議論することにあった。 要は、バイオテロを防ぐための行政的立法的措置と研究の自由とをいかに折り合いを付けるかという問題である。 バイオテロを押さえる保障を最大にすれば研究試料の交換や研究成果の公表に強い制限を掛けることになる。しかし、それでは科学、とくにバイオテクノロジーの正常な発展を妨げることともなる。 以上の問題意識は9.11を経験した米国に強くあったと思われ、出席者50名中10名が米国関係者であった。 我が国からは外務省から大塚、柳井の2名と、産業、学会、行政の側を反映するかたちで筆者が出席した。