散乱体内部吸光構造の三次元像再構成に関する基礎的検討

摘要

生体透過性の高い近赤外光を用いた光CTでは，X線CTやMRIなど他の生体内部イメージング技術に比べ，比較的簡易で安全なイメージングが期待されている．この技術は，繰り返し無侵襲計測が可能なため，実験動物の経時観察を必要とする創薬研究など生命工学分野においても有用と考えられる．Filtered Backprojection（FBP）など一般的なCTアルゴリズムは，無散乱で吸収体の投影像がクリアに撮影できる場合には有効である．しかし，生体組織における散乱の大きい光波長領域では，そのままでは適用できない．一方光CT は，通常拡散光トモグラフィ（DOT：Diffuse Optical Tomography）とも呼ばれ，時間分解計測と逆問題解法を中心に開発が進められている［1］．しかしこの方法では，高度な計測技術と複雑な情報処理が要求され，一般的な診断装置としての普及は未だ進んでいない．