東京国立近代美術館フィルムセンター(NFC)におけるデジタル映画保存の調査研究事業

摘要

1999年にジョージ?ルーカス監督は「Star Wars Episode 1-Phantom Menace」で、フィルムを用いずに撮影から上映まで可能なことを示したが、その後ほぼ10年は上映がフィルムで行われたために、映画はフィルムに記録され、失われることへの危機感は高まらなかった。しかしながら、日本でも2010年頃より、上映までの全プロセスのデジタル化が急激に進行を始め、フィルムに記録されない映画が増加した。AMPAS(Academy or Motion Picture Art and Science)はデジタルジレンマ(2007年)およびデジタルジレンマⅡ(2012年)をリリースし、デジタルデータの保存に開する脆弱性を指摘、長期の保存にはコストも含め、フィルムが優れていると報告した。また、これより早く2000年には米国でNDIIPPが設立され、議会図書館がデジタルコンテンツの収集および長期保存活動の中心となった。国内では国立国会図書館により、電子図書館化に向けた種々の調査報告がなされたが、映画のデジタル化に関して、国内での取り組みは少ない。このような状況下、NFCでは補助金事業費を獲得し、デジタル映画の長期保存に関する調査研究、Born Digital Cinema(BDC)プロジェクトを開始した。