犬の皮膚、皮下の肥満細胞腫

摘要

SMCTは犬の皮膚腫瘍のなかでもつとも発生頻度が高く， ここ数年で診断、治療に関する情報が数多く更新されている ことから，最新の知見を見落とすと治療方針を見誤る可能性 がある。SMCTの肉眼所見は多様性を示し，その病態も不均 質であることから，臨床病期の評価は必須である。とくにリン パ節ゃ脾臓、肝臓の評価では，触診や超音波検査上で異常所 見がなくても細胞診は必ず行う6一8)。これらの評価は予後に大 きく影響し，適切な治療を選択するうえでも重要である（図 1，表1)。腫瘍サイズにかかわらず，MCTに関連した症状が 顕著である場合，ダリエ徴候の発現によりさらに重篤化する ことがあるため，検査前に. H2プロッカ一もしくはプレ ドニゾロンを使用する必要がある。SMCTの悪性度分類で は，Patonaikら（1984年)による組織学的評価またはKiupel ら（2011年）が提唱した細胞形態による指標が普及されてい るカミ9'101,より多くの情報が得られる理由から前者による判 定が望ましい。筆者が調査した早期再発または転移が見られ た症例の臨床的、組織学的特徴を表2に示した。SMCTで は外科治療，放射線治療，化学療法または分子標的治療あるt 、はこれらを併用して集学的に治療を行うが，いずれも前述し た疾患のデ一タベースに基づいて予後を想定し，各治療のメ リット、デメリットならびに治療の目的を明確にしたうえで 開始する。