結膜腫瘍の鑑別

摘要

結膜にはさまざまな腫瘍が発生する.良性腫瘍であれば母斑，乳頭腫，化膿性肉芽 腫，アミロイドーシス，原発性後天性色素沈着症が代表的である.リンパ管腫などの脈管奇形 もみられる.結膜の悪性腫瘍は良性腫瘍よりも頻度は稀であるが，上皮内癌?扁平上皮癌,悪 性黒色腫，悪性リンパ腫が高頻度にみられ,転移性腫瘍も発生する.眼窩脂肪ヘルニアや眼瞼 脂腺癌などの眼窩内や眼瞼の腫瘤性病変の結膜への進展の際にも，臨床的には結膜の腫瘤とし て評価されることもある.結膜腫瘍の鑑別には，患者の年齢，問診細隙灯顕微鏡所見，フロー 染色試験が極めて重要である.前眼部光干渉断層計も非侵襲的に角膜輪部付近に発生した結膜 腫瘍の鑑別に有用である.結膜腫瘍の診断には，試験切除による病理組織学的診断が必須なこ とが多いが,生検を行う以前に腫瘍の臨床診断が可能な場合には,必ずしも試験切除は必須で はなく，初診より根治的治療を計画する.