27ゲージトロッカーと硝子体鑷子を用いた無縫合眼内レンズ強膜内固定法(JK法)

摘要

I 眼内レンズ縫着?強膜内固定の変遷. 眼内レンズ(intraocular lens ： IOL)偏位は白内障手 術における晩期合併症であり,日常診療でよく遭遇す る.2019 年に Monestam らは"American Journal of Ophthalmology"に, 20年の前向き研究の結果，白内 障手術によりIOL挿入された800眼中10眼(1.2%) に追加でIOL偏位や落下に対する手術が必要であったと報告した. 近年の長寿化，社会の高齢化および手術適応が下がっ たことによる白内障手術の増加により，今後白内障手術に伴うIOL関連の手術は増加することが予想される. また,外傷や偽落屑症候群に伴うZinn小帯の脆弱,白 内障手術に合併する広範囲なZinn小帯断裂などにより IOLの支えとなる水晶体囊が使用できない際には，通常の囊内固定や囊外固定が困難となる.このようなIOL 関連疾患や水晶体囊損傷の症例に対しては，Malbran が1986年に報告した糸を使用したIOL縫着術が長年世 界的な標準治療となっていた.