「持続されるインフラ」に宿る文学性と精神

摘要

決意を持続させることのできるのは習慣という怪物である——とは三島由紀夫の言葉である。決意を支えているのは地道に続けられている習慣であり，それは偉大なものである。これをインフラとメンテナンスの関係に置き換えると，インフラの存在やその目的を持続させることができるのは習慣的な維持管理?修繕であり，メンテナンスは非常に重要であると受け取ることができる。様々なインフラメンテナンスについて一般にも広く理解が深まっていくのはこれからではあるが，それでも私たちはインフラとそのメンテナンスの重要性と，確かにそこにある人間の営為を認識している。文学をはじめとした作品では，時間的空間的な制限を超えてインフラを俯瞰し，あるいは利用者目線でそれに関わる心情を語り，時に現実を超えた創造や空想が自在に展開され，それらは読まれることによって共感をはじめとした感情を獲得している。「持続されるインフラ」にはどのような文学性と精神が宿るのか。この稿では文学をはじめとした作品世界を通じて考えていきたい。