がんゲノム医療におけるエキスパートパネル

摘要

がんゲノム医療におけるエキスパートパネルの意義と位置づけについて:次世代シーケンサーにて多数のがん関連遺伝子を調べる遺伝子バネル検査は，すでに一般診療の中に取り入れられている.米国ではFoundation Medicine社のFoundationOne? CDx(F-One)という314遺伝子を解析するパネル検査が5年前から受託型臨床検査として導入され，これまでに20万人以上の解析実績を有する.またMemorial Sloan Kettering Cancer CenterはMSK-IMPACTという468遺伝子を解析する検査システムを開発し，院内検査として毎年3,000症例以上の解析結果を報告し，cBioPortalというデータベースが構築されている.いよいよ2019年6月，F-One, OncoGuide~?NCCオンコパネルシステム(NCCOP)の2種類のがんゲノム検査が保険償還された.わが国におけるがんゲノム医療が新しいフェーズに入ったといえよう.しかし，保険診療での遺伝子パネル検査は，標準治療のない固形がん（希少がんや原発不明がん），あるいは標準治療終了または終了見込みで，かつ，検査施行後に化学療法が可能な状態と判断された固形がん患者に限定されている.