4) 前立腺がんにおけるゲノム検査，Liquid biopsyと治療選択

摘要

前立腺がんはさまざまな病態を含む疾患であり，限局期，遠隔転移?再発，去勢抵抗性といった臨床経過によって異なる遺伝子異常が認められることが明らかになっている.また近年では本邦においてもコンパニオン診断としてBRCA1/2変異のある前立腺がんに対してオラパリブが承認され,その他の遺伝子異常に焦点を当てた治療開発も進んでいる.本稿では,前立腺がんにおけるゲノム検査およびLiquid biopsyについて解説をする. 前立腺がんによくみられる遺伝子異常前立腺がんはアンドロゲン受容体シグナル経路 に依存して増殖するため初回治療としてアンドロゲン遮断療法（androgen deprivation therapy ； ADT）が行われるが,治療抵抗性となった後，すなわち去勢抵抗性前立腺がんに進行した際には，異なる遺伝子異常が発現している. 各前立腺がんの状況（去勢感受性or抵抗性,遠隔転移ありorなし）における遺伝子変異とその頻度を表1に示す.