悪心?嘔吐

摘要

がん薬物療法によって誘発される悪心?嘔吐 （chemotherapy-induced nausea and vomiting ； CINV）は患者のQOLを著しく低下させ,全身状態を乱し（低栄養,脱水，電解質異常など），結果として治療の継続を困難なものとする?したがってCINVを制御することはがん薬物療法を継続する上で重要なポイントの1つである.CINVの発現頻度や重症度は，がん薬物療法レジメン（抗がん剤の種類?投与量?投与経路?投与時間?併用薬との相互作用）,あるいは患者の属性（CINVリスク因子:後述）などさまざまな要素に影響を受ける.CINVを制御するためには,これらの要素を考慮したうえで適切な対策を講じる必要がある.本稿ではCINVに対する支持療法を，主にNCCNガイドライン2020年改訂版に沿って解説する.