切除可能胆道がんの周術期治療（術前術後補助療法）

摘要

胆道がんに対して，外科切除が根治を期待できる唯一の治療法であるが，切除後の5年生存割 合は肝内胆管がん41.9%，胆嚢がん41.6%，肝外 胆管がん33.1%,乳頭部がん52.8%と報告されて おり，治療成績向上のために，補助療法の開 発が試みられている.術後補助化学療法に関す る比較試験は，本邦の研究としてTakadaらによ り2002年にはじめて報告された.1986年から 1992年までに，国内多施設共同で登録が行われ， 膵がんと胆道がん切除例を対象に，術後経過観 察とマイトマシンC + 5-FU(MF)療法との比較試 験が行われた.疾患別の解析で，胆嚢がんにおい てMF療法群で生存期間の有意な改善が報告さ れているが，この対象には非治癒切除例や遠隔転 移例が多数含まれており，根治切除例に限ると， 有意差を認めておらず，標準治療の確立には至つ ていない.近年報告されている術後補助療法の 比較試験(表1)について解説し，術前化学療法を 含めた今後の方向性について言及する.