免疫チェックポイント阻害薬 によるがん免疫応答の制御1)抗PD-1/L1抗体療法の現状と課題

摘要

がん免疫療法の中で，近年，臨床開発に成功し開発を先行しているのが抗PD-1/L1抗体を はじめとする免疫チェックポイント阻害薬であ る.本邦において，2014年にPD-1阻害薬が免疫 チエックボイント阻害薬として国内初の承認を 受け，2017年にはPD-L1阻害薬が承認され，現 在に至るまで，多数のがん種に対して適応の拡大 が進んでいる.しかしながら，免疫チェックボイ ント阻害薬単剤で臨床効果を認める患者は一部 にとどまっており，現在，初回治療を中心に初回 治療として既存の標準治療（化学療法，分子標的 薬など）との併用療法の開発が進められており， いくつかのがん種では開発に成功している.本稿 では，抗PD-1/L1抗体の作用機序や開発状況に 触れ，耐性機序，今後の課題などについて概説す る.