腫瘍内の異常な血管形成が 腫瘍免疫を抑制する分子機序

摘要

血管はさまざまな血管径の動脈?静脈?毛細 血管によって構築されている.基本的にはどの ような太さの血管も，血管の内腔面は一層の血 管内皮細胞によって構成されている.共通した 血管の構造として，血管内皮細胞の外側（基底膜 側）からは血管壁細胞が血管内皮細胞に裏打ちし て血管構造を安定化している.動脈や静脈では， この壁細胞は血管平滑筋細胞により構成され， 血管の太さに応じて層を形成して血管壁の構造 的な強化を維持し，血管の収縮あるいは弛緩を 制御する.一方で，毛細血管と細静脈では血管 内皮細胞の周囲にペリサイト（周皮細胞）が裏打 ちして血管構造の安定化を誘導している.従来， このペリサイトは間葉系幹細胞の一種であり，血管の収縮にはM与しないと考えられてきたが，最 近，ペリサイトも血管の収縮弛緩に関係して血 流調節を制御しているということが報告されてい る.