看護学生の'観'をはぐくむとはどういうことか

摘要

看護学校における「哲学/倫理学」看護学校のカリキュラムでは基礎分野科目として、「心理学」や「社会学」などと共に「哲学」または「倫理学」という科目がほぼ間違いなく置かれています。四年制大学でいうところの一般教養科目にあたるわけですが、四年制大学と違うのは、それらが選択科目ではなくて必修科目となっているという点です。私は2003年から福島県内の看護学校で「哲学」を教えることになり、その後、さらに2校で「倫理学」の授業も受け持つことになりました。本務校での授業はほぼ選択科目ばかりですから、私の授業を取りたくて来ている学生だけを相手にしていればよいのですが、看護学校での全員必修の授業というのは気が重い仕事でした。看護師になろうと思って入学してきた学生たちが、哲学や倫理学に興味があるわけがありませ国家試験にも絶対に出ませんし。興味関心もモチベーションもまったくない授業を90分×15回というのは、聞くほうにとっても話すほうにとっても想像を絶する苦行であることはおわかりいただけるでしょう。