重症頭蓋内出血後にたこつぼ症候群および神経原性肺水腫を合併した小児の2例

摘要

重症頭蓋内出血の治療中に，たこつぼ症候群および神経原性肺水腫を合併した小児の2症例を経験した。 症例1は5歳女児，脳動静脈奇形破裂後であり，症例2はら力月男児，両側急性硬膜下血腫発症後であつ た。いずれの症例も緊急開頭血腫除去術が行われ，術後PICUに入室後8時間以内に左室駆出率の低下を 認めた。心臓超音波検査では，心尖部の壁運動低下が顕著であり，たこつぼ症候群の合併と考えられた。 循環作動薬の投与期間については，症例1で11曰間，症例2で7曰間であった。とくに症例1では， ァドレナリンの投与開始後も心収縮の改善が乏しく，急性心不全による肺水腫および循環動態の管理に難 渋したが，PDEEI阻害薬の投与が奏功したので，その臨床経過とともに報告する。