和食の心とかたち

摘要

2017年6月15日，一般社団法人和食文化国民会議（略称：和食会議）は，平成28年度定時社員総会の場で「和食の心とかたち」を発表した。当法人はユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」の保護·継承に責任を持つ唯一の民間団体として2015年2月に設立された団体で，設立当初より「和食の定義」を定めるよう各方面から多くの要望が寄せられていた。当時の熊倉功夫会長を中心に役員が議論を重ねて素案を作成，それをベースに400に及ぶ企業，団体，個人会員よりパブリックコメントを募った。それぞれの業界や学会，オピニオンリーダーから多くのコメントが寄せられ，中には大変厳しいご意見もあったため，それらをすベて反映させることは到底不可能と思われた。また，定義することの是非にまで議論が及び，結果として「定義」ではなく，一民間団体としての和食会議が提唱する「和食の心とかたち」という柔らかい表現で，和食を取り巻く日本人の生活文化まで包括してアピールすることとなったのである。