超高真空試料搬送導入装置を用いたリチウムイオン電池材料の分析

摘要

本研究では，可搬型超高真空試料搬送導入装置を用いてリチウムイオン電池電極表面の炭素種の分析を光電子分光法で試みたので報告する。電極表面の炭素柿として結着剤のポリテトラフルオロエチレン（PTFE），ポリフッ化ビニリデン（PVDF），スチレン·ブタジエン共重合体（SBR），導電助剤のカーボンブラックや電解液などがあげられる。結着剤は正極活物質や負極活物質を結着させて電極板を作成するため使用されるものである。電極材料に加えて，これらの結着剤や導電助剤も電池の性能を大きく左右する構成物質であり，充放電による劣化反応の解明や，充放電によつて電極表面に形成されるSolid Electrolyte Interface（SEI）と呼ばれる被膜の形成過程の解明は電池開発において重要である。そのため，電極表面層に存在する炭素の結合状態をより精確に知ることが必要であり，大気との反応性を確認しておくことは重要である。