シフト不変な複素数離散ウェーブレット変換 第1報：複素数離散ウェーブレット変換の理論と原理

摘要

本論文では線形シフト不変システムの観点からCDWTによるシフト不変性の実現を理論的に示した。 得られた主な結果は以下のとおりである。 1)シフト不変性条件，すなわちHilbert変換ペアの複素数ウェーブレットにおける，スケーリング関数と双対スケーリング関数の実数部と虚数部のペアの形状が完全に一致し，1/2サンプルずれる状態において，CDWTのシフト不変性が成立することを証明した。 2)直交ウェーブレットは双直交ウェーブレットに含まれるため，1)の証明は，直交ウェーブレットをもとに設計されたHilbert変換ペアの複素数ウェーブレットにも適用できる。 3) Daubechiesウェーブレット(N=2～10)をもとに設計されたHilbert変換ペアの複素数ウェーブレットによるCDWTを検討し，スケーリング関数の実数部と虚数部の形状の差が少ないものほど，より高い精度でシフト不変性を実現することを確認した。